ゆうじです。こちらのブログでも何度か触れたLOOPについて紹介したいと思います。公式サイトはこちら
LOOPとは何なのか。一言でいうと、ずばり、インスリンを投与するためのアプリです。
これだと何もわからないですよね(笑)。もう少し詳しく説明すると、LOOPはスマホアプリを中心としたシステムで、CGM(Dexcom)とインスリンポンプ(メドトロニックの特定機種かOmnipod)を「会話」させて、血糖値がターゲットの範囲に収まるよう、インスリンの量を調整することができます。
食事時のボーラスについては、人がカーボ量を入力すると、補正分も含めたインスリン量が表示されるので、投与するという、通常のポンプとあまり変わらない操作です。
一方、ベーザルが最大の特徴で、血糖値やカーボの推移から、今後4時間の血糖値推移を予測し、それが予め設定した血糖値のターゲット(例えば80)に到達するよう、必要なベーザル量を提案してくれるのです。
そしてこの提案を、人がアプリの操作で実行する場合は「オープンループ」と呼び、これだけでも便利な訳ですが、さらに踏み込んで、アプリに自動的に実行せることもでき、これを「クローズドループ」といいます。
「クローズドループ」はT1D業界(?)では一般用語ですが、Artificial Pancreases(人工腎臓)とも言われるように、人間の体が自然に適量のインスリンを生産し、血糖値をコントロールする仕組みを、再現しようとしているものということもできます。
さて、LOOPのアプリがどうやってこれを実現するのか。
Dexcomのデータは、同じスマホに入っているアプリから取得できるわけですが、ポンプはスマホアプリとは別の端末で操作するので、どうするか。最初にLOOPの存在を知ったときは、疑問に思っていました。で、その答えがかなり、衝撃でした。
ずばり、インスリンポンプをハッキング(=勝手にコントロールする)します。
普通、ポンプと専用端末は無線で会話しているのですが、Riley Link(ライリーリンク)という小さなデバイスを使って、アプリ→(Bluetooth)→Riley Link→(無線)→ポンプという流れで、指示を出すのです。もちろん、逆方向で、ポンプの動作結果をアプリ側で取得することもできます。
そんなことして、大丈夫なの?と思うかもしれませんが、大丈夫じゃないかもしれません(汗)。
LOOPはT1D患者やその家族であるITエンジニアたちが、ボランティアで作り上げたシステムです。つまり、医療器具メーカーが莫大な研究開発費をかけて開発し、FDA(日本でいう厚生労働省)が厳格な審査の元、承認を出した医療器具では全くありません。なので全てが自己責任。ウェブサイトにも下記のような注意書きがあります。
Important(重要)
Please understand that this project:(このプロジェクトについて、下記の点をご理解ください)
- Is highly experimental(非常に実験的である)
- Is not approved for therapy(治療に利用することを承認されていない)
You take full responsibility for building and running this system and do so at your own risk.
(このシステムを構築し、利用することは完全なる自己責任です)
では、なぜこんなリスクがあるものをつくったのか。
それは、医療機器メーカーがこうした機能を持つ商品を開発し、当局がそれを承認するには、時間がかかるし、ユーザー目線で本当に欲しいものになる保証もないので、自分で作ってしまえ、という発想でしょう。Nightscoutの「We Are Not Waiting」にも通じるアメリカらしい精神です。
私はJDRFを通じて知り合ったT1D関係者から、LOOPの話を聞き、色々調べて、血糖値管理の質が上がり、ケアする側の負荷も下がるなら、と考え、リスクも考えた結果、イチへの導入を決意し、ここ半年ほど使っています。
結果として、かなり満足しています。クローズドループのおかげで、低血糖/高血糖の対応をする頻度が(おそらく3−5割ほど)減りました。
例えばイチが学校にいるときに、高血糖で追加ボーラスをしに学校に行ったり、低血糖時に先生や本人に連絡して補食を食べてもらう頻度が下がりましたし、夜中に起きて、対処することも大分減りました。
もちりん、万能ではないので、引き続きこうした対応は必要です。あくまで頻度の問題ですが、それでもQOLは確実に改善したと思っています。
さて、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次回はLOOPを使う手順について紹介したいと思います。